
No.4560
Lv.17 |
10 |
メジャーなプロスポーツ(野球、サッカー、バスケットボールなど)をゲーム化するのに当たって、まず問題になるは、実際にゲームで試合をしてみて、その試合による選手やチームのデータが十分に現実を反映しているかどうかである。対戦オンリーの人なら、別にどうでもいい問題なのかもしれないが、シミュレーター志向でこの手のゲームを、一(数)シーズン分やる人にとっては、ゲームの「現実の再現度」が、そのゲームをクソゲーか良ゲーかどうか判断する一つの目安になっていると言っても過言ではない。もちろん「ゲームが面白いか」も重要であるのは言うまでもない。「ゲーム性」と「再現度」との折り合いが、この手のゲームで遊ぼうとする人にとっては重要なのである。 その点、野球、サッカーは、ある程度ゲーム性と再現性の折り合いのつけやすいジャンルだと思う。が、バスケットゲーム(特にNBA)はそうとは言い難い。NBAに関して書くと、総得点は両チームとも「90点前後」でなくてはならない、フィールドゴールのパーセンテージは5割前後でなくてはならない、個人の成績は…などと書き始めればきりがないほどの制約がある。さらにNBAでは、野球やサッカーにはない時間的な制約、24秒(30秒)ルール、3秒ルール、10秒ルールなどもあるのだけれど、ゲームでの試合時間を安易に1クォーター12分に設定すると、普通のプレイヤーにとっては長過ぎて、途中でまず間違いなくだれる(これは実際にNBA関連のゲームが1クォーターを6分、8分で調整していることからもよく分かる)。だが、1クォーターの時間を変更すると、同時に3秒ルール、24秒ルールなどの変更についても、製作者側は考慮に入れなくてはならない。しかし、3秒ルール、24秒ルールを安易に変更すると、プレイヤーは試合の組み立てから考え直さなくてはならないはめに陥る。そして結果的に、「ゲーム性」と「再現性」、両者のバランスが崩れることになる。製作者側は当然その辺も考慮してNBAのゲームを製作しているのだろうが、それがうまくいっている例は極めて少ない。 さて、このゲーム、一見NBAプレイヤーを「売り」に使ってのストリート風フルコート「3on3」をダイナミックに演出再現しているように見える。悪く言い直せば、「単に見た目が派手で、好きなNBAプレイヤー(あるいはエディットした自作のプレイヤー)を使って豪快なダンクやアリウープをガンガン決めて、爽快な気分に浸る」だけのゲームのようにも(一見)見える。が、実は少しやってみれば明らかなのだが、それは全然違う。このゲームは、(NBAや一般的なバスケットボールの本来の魅力と同じく)「ディフェンス」と「フェイント」のゲームなのだ。 このゲームは、NBAのような4クォーターの総得点を争うルールではなく、卓球やバレーのような21点先取した方が勝ち、というルールを採用している(20点以上で同点でのジュース制もあり。誤解を招く恐れがあるので補足しておくが、サーブ権などのルールはもちろんない)。ちなみに、普通のシュートは1点、ロングレンジからのシュートは2点で、後の主なルールは24秒ルールと「Out of bounds」のみ。ファールなどは一切なし。このルールでのゲームは予想外に白熱し、「得点を稼ぐのではなく、失点を防ぐ」方を重要視するバスケットボールにおいての「1点の重み」による緊迫感を再現することに成功している。コントロールスティックとCスティックを同時に操ることによって複数のキャラクターを同時に制御し、ダブルチームやマークキャラクターのチェンジ、ゾーンディフェンスなどを感覚的にこなして、ディフェンスを固める。そして同じく複数のキャラクターを同時に制御してピックやポストプレイなど、様々な攻撃パターンを駆使して、ゴールに向け、戦略的に攻め立てる。製作者側が「5on5」ではなく「3on3」にした理由の一つには、使用キャラクターの人数の制限によって、より戦略的なオフェンス&ディフェンスをかなりの程度自分の手で制御できることを目指したことがあるのではないだろうか? それからこのゲームには、もう一つ重要な独自のルールがある。「ゲームブレイカー」がそれだ。守備時の「リバウンド」「ブロック」「スティール」、攻撃時の「(パスやシュートなどの)様々なフェイント」「ダンク」「アリウープ」「フックアップ」などを決めると、「トリックポイント」というパラメータが得点とは別に加算される(逆に「ターンノーバー」などをすると、減少する)。この「トリックポイント」は短い時間の間に「ブロック」「スティール」「(種類の違う)フェイク」を織り込んで最後にシュートで得点すると、「コンボ」になり、さらに高い「トリックポイント」を得ることができる。そしてこの「トリックポイント」は「ゲームブレイカーバー」と連動していて、「ゲームブレイカーバー」がいっぱいまで貯まると、相手から点をもぎ取れる(例えばロングレンジシュートの場合、自チームは+2点、相手チームは-2点となる)「ゲームブレイカー」ショットを放てる権利を与えられる(ただしシュートチャンスは一度きり)。このシステムのおかげで、プレイヤーはより多くのテクニックを駆使することを強いられ、結果的には「ダンク」や「アリウープ」以外の見せプレイを習得、披露することになる。これはまさに、試合終盤における白熱したNBAのゲームそのもの、さらにはファールゲームなどのNBAの悪い部分(シミュレーター志向の人にとっては、このあたりを再現してないことは、NBAゲームにとっては致命的なことであろうが)を切り捨て、さらに純粋に(NBA的ではないのかもしれないが)バスケットボールを楽しめることができる、と言っても良いのではなかろうか? 結果的にこのゲームは、「現実の再現性」をあえて無視することによって、「NBA的なゲーム性」を獲得した稀有なゲームだということになる。
No.7 2002年12月01日-19時50分
|